はじめに

2050年までを見通すことで現在を理解できる

 

 

第1部  人間とその相互関係


第1章  人口の配当を受ける成長地域はここだ

世界的な出生率の低下は、人口動態で突出した出っ張りの世代を生み出し、その世代が、労働年齢に達する地域は急成長し、リタイヤする被扶養世代になったときに、成長は止まる。

第2章  人間と病気の将来 

高齢化と肥満化が世界的な趨勢となり、途上国にも慢性疾患に苦しむ人が増える。急速な都市化もそれを後押しする。一方で、医療技術の進歩は疾病の治療法に革命をもたらす。

第3章  経済成長がもたらす女性の機会

過去40年、先進国でめざましい発展を見せた男女同権。今後は、BRICSの新興国で、経済成長の必要から女性の機会はより開かれる。が、中東などでは時間がかかるだろう。

第4章  ソーシャルーネットワークの可能性

常時接続と常時オンライン、ソーシャル化されたスーパークラウドの世界は、車や電化製品などにも広がる。―方で一社支配に対する懸念も強まり、政府の規制が予想される。

第5章  言語と文化の未来 

グローバル化と最新技術は文化に影響を及ぼすだろう。しかし、人々の嗜好には地元色がいつまでも残りつづけるだろう。英語の1極支配は続き、中国語は世界言語とはならない。

 


第2部   環境、信仰、政府


第6章  宗教はゆっくりと後退する

経済発展で人々は宗教を相対化する傾向にある。2050年には、世界の信仰者の数自体は増えているが、原理主義的勢力は退潮し、最終的に地球を受け継ぐのは無宗教の勢力だ。

第7章  地球は本当に温暖化するか 

地球は、温暖化することは間違いないが、それがどの程度の温暖化になるのかは、不確定要素が多く、判断が困難。温暖化の条件がそろうとそれを修正するには時間がかかる。

第8章  弱者が強者となる戦争の未来

中国の台頭、技術の拡散、新しい形のテロ戦争などでアメリカの超軍事国家としての優位性は、さまざまな領域で崩れ始める。そうした中で、核戦争の危険は冷戦時代以上に高まる。

第9章  おぼつかない自由の足取り 

民主主義は、先進国において縮小し、新興国において充進するだろう。ツイッターなどウェブ世界の進展は、民主化に一定の役割をはたすが、民主化された後の影響は限定的だ。

第10章  高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか

世界的な高齢化によって、国家には年金や保健医療についての国民との約束を果たす余裕がなくなってくる。が市場経済の一定の導入による効率化など「改革」の打つ手はまだある。



第3部  経済とビジネス


第11章  新興市場の時代

新興国の経済は、今後40年間、先進国が経済成長を達成した速度を上回る速さで成長する。中でも教育に投資をしている国のスピードが速い。急速に高齢化する中国は減速。

第12章  グローバリゼーションとアジアの世紀

グローバリゼーションは、どれほど反発を受けようと、今後数10年間後戻りすることはない。グローバリゼーションは、アジアが世界経済の支配的勢力に返り咲くのと同時に進む。

第13章  貧富の格差は収斂していく

世界の貧富の差は、2050年には今よりはるかに縮小されている。貧富を左右する要因としては、どこに住んでいるかより、どんな教育を受けるかのほうがずっと大きいだろう。

第14章  現実となるシュンペーターの理論

これからのビジネス界では、創造的破壊の嵐が――おもにいい方向ヘ――いっそう猛威を振るう。予想もしないような技術革新は、これまでのビジネス環境を一変させることに。

第15章  バブルと景気循環のサイクル

株式市場では1966〜82年の弱気な過程を経て、1982〜2000年まで強気の過程が続いた。こうしたサイクルは今後も繰り返すのだろうか? 地価は? 商品価格は?



第4部  知識と科学


第16章  次なる科学

人類の知への探求は新たな領域に入り、そこでは上下関係に苦しむ東洋より、リベラルで序列にとらわれない欧米諸国のほうが、より多くを研究し、より多くの実りを手にする。

第17章   苦難を越え宇宙に進路を

栄光の有人飛行競争の時代は終わりを告げた。米国は月への飛行をとりやめ、周回軌道上をまわる人工衛星に様々な用途を見いだす時代になった。中国が独自宇宙国家として台頭。

第18章   情報技術はどこまで進歩するか

インターネットはきわめて短期間に社会を変容させた。生み出され処理されるデータの量は指数関数的な割合で増えていくので、経済、社会ともに今後の変化はさらに加速する。

第19章   距離は死に、位置が重要になる

テクノロジーが距離を葬った。通信費は限りなく無料に近づき、様々なソフトウェアで人はこれまで以上につながるようになり、どこにいるか、がかつてないほど重要になる。

第20章 予言はなぜ当たらないのか

1970年代になされた予言を検証すると、みな悲観的でしかもそのほとんど全てが間違つでいた。2012年の時点の予言も悲観論よりは楽観論のほうがずっと根拠がある。

 

 

 

編纂者 紹介

ダニエル・フランクリン(Daniel Franklin)
 『エコノミスト』誌編集長および企業問題エディター。『エコノミスト』誌の年鑑『ワールド・イン……fF』でも編集長を務める。

ジョン・アンドリュース(John Andrews)
 三十年以上にわたって『エコノミスト』誌に寄稿し、『ワールド・イン……年』では副編集長を務める。著書に『エコノミスト誌によるイズムの書(The Economist Book of Isms)』がある。

 

 

 

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