いま私たちがやるべきこと〜2030年の信仰
便利の反動
久住寺執事 児玉 光瑞
◆以前に説明しましたが・・・
最近「説明責任」という言葉をよく耳にし ますが、筆者は「なぜ今さら?」とよく思います。原発にせよ、増税にせよ、統一教会にせよ、何10年も前から ニュースなどで取り沙汰されたはずです。事の本質は何も変わっていないのに、なぜメディアや野党は「説明責任」を連呼するのでし ょう。それは、本質的な議論をしなかったからではないでしょうか。しかし注目が集まると「けしからん」と世間に迎合しているだけなのだと思います。
では、なぜ本質を考えないか。それは実は 「考える能力がない」 あるいは「思考が停止している」ような気がします。こんなことを 書けば、私が「炎上」 しそうですが、興味深い調査があるので、見てください。
◆8割は読解力がない
経済協力開発機構 (OECD)加盟のうち24か国が参加する、 「国際成人力」という 調査があります。国の政策に役立てる目的 で、成人の認知力を調査したものです。詳しくは文科省に紹介されておりますが、第一回 調査では、 日本はトップの成績でした。しかし、喜ぶなかれ。75.7%の大人は読解力がないという結果でした。どの程度かというと、120文字程度の書評から本の内容を推測する程度です。この記事の10分の 1以下ですね。それが理解できていないのです。要は、日本人の多くは120文字程度の文章が読めないということです。
これには様々な著名人が「日本人は文章が理解できない」と囃し立てました。しかしそうではなく「概念」が理解できないんだと思います。なぜなら、本は文字で概念を説明するものだからです。
以前「幸せとか地獄という類の実体なき概念を共有できるのは人だけ」と述べました。 しかし、それすら理解できないとなると、もう動物と大して変わり ません。こういうと炎上しそうですが、考えてもみてください。一時の快楽に負けて、酒を飲み、タバコを吸い、 お菓子を食べ、しかし運動はしない。昔は少量だったからよかったのです。日常で運動していたからよかったの です。それを現代は、 運動もせずに毎日毎日大量摂取。健康を害すと知っておきながら、 寿命を縮める生物は愚かという他ありませんよね。
◆それが末法
現代はとても便利で豊かになりました。スイッチを押せばご飯が炊けます。しかし、その反面、意識して勉強や運動をしなければ、 白痴化し弱体化するようになりました。昔は頭を使っていなかったと思うかもしれませんが、ほんの百年前の人は普通に羽釜でご飯を炊いていました。キャンプブームの昨今とはいえ、火を起こせる現代人がどれだけいるでしょう。昔の人はかなり頭を使って生きていたのです。 冷静に考えると、現代は便利と引き換えに思考が停止してしまうのかもしれませんね。
実は、仏様はとっくにそう説かれています。そもそも末法とはそんなものだと。お釈迦様の影響力がなくなり、人が愚かな状態を末法といいます。人は、欲を貪り、争い、一時の快楽を求め、時には理解したと勘違いしながら、迷い苦しんで生きています。そうです。 地獄から縁覚までの8つの境界を堂々巡りしているのです。末法の今は、愚かな凡夫の時代。したがって、あなたもその周りもそうであると理解しなければ なりません。凡夫は愚かさゆえに、自身の愚かさに気づきません。 ですから仏様は「小難 しいことはいいから、 他に施しなさい」と説き、日蓮大聖人はもっと簡単に「理解できなくても妙法だけは忘れるなよ!」と仰せなのです。
幸せの境界は、利他というゴールを見据えながらも、読めない本を努力して読み、人と交わり、自分の頭で考えてたどりつくしかありません。妙法を知るのみで安心していませんか。妙法に縁した私たちのスタートは、ここからなのです。