いま私たちがやるべきこと〜2030年の信仰

 

求めなければ真実は得られない

 

久住寺執事 児玉 光瑞

 

◆北朝鮮はなぜミサイ ルを打つのか

 この原稿を書いてい る時点で、北朝鮮のミ サイル発射実験が話題 になっていました。

 「2週間で6発」 「日 本への挑発」など、さ まざまな意見やニュー スが飛び交っていま す。どの国であれ兵器 開発には反対ですが、 一方で報道内容は本質 から外れているとも思 います。それは、日本 への挑発ではないから です。

 日本を射程にするミ サイルはとっくに完成 しています。北朝鮮が ずっと気にしているの はアメリカなのです。 アメリカ本士に届くミ サイルが完成すれば、 北朝鮮にとって抑止力 となるのです。

 では、なぜ日本上空 を通過させるのかとい うと、東に日本がある からです。ロケットや ミサイルなど、物体を 長距離にわたって飛翔 させるためには、地球 の自転の影響を考慮し て東に打つのは常識で す。津軽海峡を通過さ せるのは、万が一のリ スクを最小にするため なのです。したがって、 北朝鮮はかなり日本に 配慮しているとも考え られます。

◆個人の価値観や感情に偏っていないか

 同じように、巷には 本質から外れた、さま ざまな意見に溢 れています。

 コロナ禍において、 アルコールの手指消毒 は常識となっています が、コロナウイルスを 直接触っても飲み込ん でも即感染というわけ ではありません。あく まで、呼気を吸うなど して、上気道(肺)に到 達する時だけです。

 国葬に「税金が使わ れるのはけしからん」 という意見も聞かれま すが、国葬・国民葬・ 合同葬の違いはあれ、 総理経験者は葬儀には おおむね税金が使われ ます。しかも、安倍元 総理の葬儀を終えた後 で、各国の要請を契機 に国葬が行われること となりました。

 ロシアのウクライナ 侵攻は良くないことで すし、日本のウクライ ナ支援も国際社会の中 では正しい行動だと思 いますが、ウクライナ には親ロシア派も一定 数存在し、ロシア・ウ クライナの双方にプロ パガンダ(情報宣伝) があることも、また事 実です。

 いかがでしょうか。 社会の関心事を皆さん はきちんと理解してい るでしょうか。物事の 多くには例外もあり、 単純なようで複雑だっ たり、複雑なようで単 純だったりします。報 道を鵜呑みにしたり、 感情で判断しては誤っ てしまうのです。

◆求めなければ真実は得られない

 真実は誰も教えては くれません。盲目の亀 が大海に浮かぶ流木に 遭遇するほど、確率が 低いと仏さまは教えら れています。真実を知 る人も少なければ、教 える人はもっと少ないです。まさ に現代社会の状況ですね。

 テレビや 新聞は、そもそもが大 衆目線ですので、少数 意見は報道しません。 よく巷では「中身が大 事」といいますが、性 格が良くても悪くて も、真実かどうかは関 係ありません。真実に 到達するには、自分で 求めて精進するしかな いのです。

◆修行の必要性

 法華経の肝は、要す るに「みんなが他人の ために生きれば、みん なが幸せになる」です。 しかし、いくら心に  「他人のために」と思 っていても、不勉強が 原因で不毛な議論に加 担するようでは、いつ まで経つても幸せの境 界に到ることはないで しょう。

 真実を得るために は、自らが学ばなけれ ばなりません。これを  「渇仰恋慕」といいま す。今、仏さまは目に 見えませんが、一方で は仏の寿命は永遠だと 説かれます。どういう ことかというと、みん なに怠け心が起きない ように、仏さまは姿を 隠したのです。「仏が いない」となれば、み んな救いを求めて真実 を請い、みんな持つて いる「仏の種」を芽生 えさせるのです。

 目まぐるしく変化す る時代に、私たちは生 きています。悩んでは かりでは幸せになれま せんが、学ばないこと もまた怠慢です。真実 求める具体的な姿 勢、つまり行動と知恵 とを実践で磨く「修行」 が必要なのです。

 

 

 

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