いま私たちがやるべきこと〜2030年の信仰

 

未来の信仰を考えよう

 

久住寺執事 児玉 光瑞

 

○ 総裁選で気づくこと

先の総裁選が象徴しているように、大きな組織では一部の人の意見で物事が決まってしまいます。菅前首相は人気がなかったそうですが、たった1年で、オリンピック・携帯代 ・デジタル庁・健康保険料・リモートワーク ・印鑑省略などを整備しました。かなりすごいと思いますが、世間はそう思わないようですね。政治の本質とは政策であり、人気ではありません。しかし組織が大きくなると、枝葉の部分で世間は評価します。それは信仰も同じ。本質は数ではなく、世間をどう導くかです。

○ 謝らせるのが目的ではない

TV世代の私は、小さな頃から芸能人や大企業の謝罪会見を多くみてきました。だから「宗門や学会が謝れば問題は解決する」と思っていました。しかし人はそもそも謝りたくないし、大組織が小さな組織に謝罪するはずがありません。ではなぜ世間は謝罪会見するかというと、その方が得策だからです。反省の態度を見せることによって、世間は一定評価をしそして忘てしまいます。みなさん、数々の謝罪会見を全部覚えていませんよね。謝罪は一種の禊のように機能しているのです。ですが、宗門や学会には正信会に謝罪するメリットがまったくありません。ですから、「謝罪することが問題解決だ」との考えは虚構でしかありません。ちなみに法華経において仏は、罪を強制的に謝罪させることはなく、自発的に改心させています。

○ 世間の関心は他にある

世間には様々な社会問題を扱う専門家がいますが、きっと信仰には無関心でしょう。ですから仏が火中の家で夢中に遊んでいる幼子を救うように、私たちも試行錯誤して世間にピントを合わせるのです。社会問題の多くは 「利他の精神」、で解決します。なぜなら、諸問題の根っこは、欲・怒り・無知の心が幸せを邪魔しているからです。欲が過剰なCO2を排出させ、怒りが兵器を量産し、無知だからSDGSを知らないのだと思います。世間のニーズは、直接的に目に見える方法論です。それに目を向けなければ、信心は単なる虚構になってしまうでしょう。ですから私たちは、世間に正面から向き合わなければならないと思います。

○ 広宣流布が目的?

仏教の目的は組織の拡大ではなく、その先の世界、すなわち、すべてのものが仏様の境界に到ることです。しかし世間では、組織の存続そのものを問題視しています。高齢化や少子化の進んだ現代社会では、人手不足になるのは当たり前です。しかし一方で、不思議なことに、オンラインコミュニティーのようなこれまでにない組織は増えています。冷静に観察すると、世間に必要な組織は増えるし、そうでない組織は衰退しているだけ。人の営みの歴史そのものなのです。

人口減少に伴って人が減るのは仕方ありません。しかし、組織のあり方や法燈相続のやり方が時代に合っていなければ、試行錯誤しなければなりません。時代にそぐわなければ、きっと正信会は2030年頃には消滅するかもしれません。信仰が具体的にどう世間を変えるのか、本質的な話をしなければならないと思います。

○ 対話を交わして

変革に近道なく、一人で考えても限度があります。だから今こそ先人観を捨てて、広く対話することが必要だと思いませんか? 仏ですら、いまだに広宣流布していないのですから、焦ることはありません。

このコーナーでは、世間の話題を考察し、未来の信仰のビジョンを考えていきます。正解を出す気はありませんし、間違うこともあるでしょう。ご意見はどんどん編集宛に下さい。継命紙を使い、対話していきましょう。

大事なことは、ちゃんと自分の頭で考えて、真剣に対話する姿勢です。少しでも読者の琴線に触れ、私も成長でさればと思います。

 

 

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