郵送世論調査

「日本経済・技術に自信」17ポイント低下 

 

 

日本経済新聞社は2021年11〜12月に郵送世論調査を実施した。日本の国力の評価について聞いた質問で、経済と技術が「強い」と答えた割合は3年間でいずれも17ポイント下がった。新型コロナウイルス下で景気回復やワクチン開発の遅れが響いたとみられる。

日本の国際競争力の要である経済と技術の立て直しが急務となる。

年に1回の郵送世論調査は今回が4回目。国力の質問は経済、技術のほか軍事や政治、外交、教育、語学の7分野を調べた。経済と技術を除く5分野も3年間で「強い」が2〜8ポイント低下した。

経済が「強い」との回答は20年調査から8ポイント下落の20%、「弱い」は11ポイント上昇の43%だった。18年は「強い」が37%で「弱い」より13ポイント高かったが、コロナ下で逆転した。

日本は21年通年の実質経済成長率が1.7%だった。5%を超えた米国やユーロ圏に比べて回復が遅い。消費を戻すためにワクチン接種の加速などが必要になる。

世代別に見ると経済が「強い」の3年間の下げ幅は50代が大きかった。バブル経済前後の入社が多く、定年を控えて再就職を考える時期にコロナ禍が襲った。雇用環境が「悪くなった」と答えた50代の比率は40%と全体を5ポイント上回った。

1年後の日用品価格を尋ねた項目では「上がる」が全体で82%に達し、20年から13ポイント上昇した。原油や原材料の高騰で洗剤やトイレットペーパーといった商品の値上げが続く。回答集計後に起きたロシアによるウクライナ侵攻で価格の引き上げは勢いを増している。

世帯収入が今後半年で増えるとの期待は9%にとどまった。物価上昇に収入が追いつかない状況が続くとみる冷え込んだ家計心理がみてとれる。

政府や企業はリスキリング(学び直し)などを通じた成長産業への人材シフトで収入増につなげる取り組みが欠かせない。

技術分野の国力評価は「強い」が58%で、20年から6ポイント下がった。「弱い」の13%に比べて40ポイント以上高いものの低下傾向に歯止めがかからない。

政府の科学技術政策で力を入れてほしい分野の首位は医療・健康(86%)だった。新型コロナの国産ワクチン開発などでの挽回期待がうかがえる。2位は脱炭素に成長の種がある環境・エネルギー(70%)だった。

調査は新型コロナ「第6波」前の21年11〜12月に日経リサーチが全国の18歳以上の男女を無作為に抽出して郵送で実施した。1661件の回答を得て、有効回答率は55.4%だった。

 

 

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室橋祐貴  日本若者協議会 代表理事

ひとこと解説こうした実感値は得てして実態から遅行して出てきますが、ようやく実態に即した感覚になってきたように思います。最近賃金低下の認識が広がりつつありますが、実際は1997年をピークに下降しており、今に始まったことではありません。日本の場合はどうしても社会への当事者意識や主体的な意識が弱く、強い危機感が社会全体に醸成されないとなかなか変化していかないので、その意味では変化するチャンスでもあります。さらに実態が大きく変わり、ほぼ全員がやばいと感じる頃には手遅れになっている可能性も高いので、社会全体でどこまでチャレンジの総量を上げられるかが勝負の時期です。

 

 

参考

数字で見るリアル世論 郵送調査2021:日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 

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