大断層の先に目を凝らす 「パクスなき世界」を考える
古代ローマの人々は平和と秩序の女神を「Pax(パクス)」と呼びました。「パクス・アメリカーナ(米国による平和)」による繁栄の20世紀が終わり、21世紀は米同時多発テロ、世界金融危機、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)と、私たちに価値観やパラダイムの転換を迫る激動が続いています。
経済のデジタル化、格差の拡大、気候変動、米中対立、技術進歩。世界の経済や政治、社会を揺らす変化がコロナ危機で一気に加速し、時代に大きな断層を刻みました。危機が長引き、未来は一段と見通すことが難しくなっています。
20日から始める連載「パクスなき世界」第3部では世界を分かつ断層を多角的にとらえようと試みます。過去からの延長線にはない、非連続の先にある未来。その手掛かりをみなさんと考えたいと思います。
パクスなき世界 大断層(1)
「富める者」襲う恐怖 「バイデノミクス」土俵際の出発
米国をはじめ、世界で人種や宗教、文化をめぐる断層が広がる(ニューヨークで警官隊に対峙するデモ参加者)=ロイター
歴史に残る1年が終わる。新型コロナウイルスの危機は低成長や富の偏在といった矛盾を広げ、世界に埋めがたい深い断層を刻んだ。過去の発想で未来は描けない。非連続の時代に入り、古代ローマで「パクス」と呼ばれた平和と秩序の女神は消えた。しばらく我慢すれば元通りになると、あなたは考えますか――。
「市民が互いに軽蔑すれば、米国は1つの国として生き残れない」。世界が米大統領選に注目した11月、米複合企業コーク・インダストリーズの総帥、チャールズ・コーク氏(85)は著書で、米社会の分断について「我々が台無しにしたのか」と後悔の念をつづった。
保有資産450億ドル(約4兆6千億円)という米有数の富豪は自由経済を徹底して求める「リバタリアン」の代表格だ。保守派を資金面で支え、いわば党派対立をけん引してきた。その成果の1つが4年前のトランプ政権の誕生と共和党による上下両院の独占だった。
勝利したはずなのに、この4年で逆に自由経済は遠のき、保護貿易や政府債務が拡大した。不公正や格差をめぐる暴力も米社会を覆う。今後、特定政党の支持から手を引くというコーク氏。自身の力がもたらした惨状におののく心情が透ける。
米ウォルト・ディズニー共同創業者の孫、アビゲイル・ディズニー氏ら資産家約100人は「私たちに増税を。すぐに大幅に恒久的に」と公言する。コーク氏と表現は異なりながら、「富める者」に通じるのは「このままだといずれ自分たちはしっぺ返しに遭う」という恐怖にも似た不安だ。
不安の震源は「1つの地球に2つの世界がある」という現実にある。スイスのUBSなどによると、保有資産10億ドル以上の2千人余りの超富裕層はこの1年足らずで資産を200兆円増やした。同じ地球に食べ物にも事欠く人がコロナ前から6億9千万人いる。
飢える人々はコロナでさらに1億3千万人増える恐れがある。ノーベル平和賞を受賞した世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長は10月、富裕層に寄付を呼びかけた。「1回限りのお願いだ。世界は分岐点にいる」。
米憲法の父、ジェームズ・マディソンは、過剰な富の集中は戦争と同じくらい民主主義に有害だと説いた。経済の二極化は反エリート主義や大衆迎合主義と結びつき、宗教や人種、世代に断層を広げ、政治を不安定にする。アレクシス・ド・トクヴィルが革命当時のフランスを描いたように、大衆は特権階級に「畏怖ではなく憎悪」を抱く。
モノの大量生産で繁栄した20世紀は労働者が中間層に育ち、平等化が進んだ。21世紀にかけてデジタル技術が広がるとモノではなく、データや知識を牛耳る巨大テック企業が「勝者総取り」を競う時代になった。そこをコロナ危機が襲った。
各国の財政拡大と金融緩和が常態化し、あふれた資金が株価を押し上げる。持つ者と持たざる者の差はさらに開く。コロナ禍で欧州の低所得層の比率は4.9〜14.5ポイント上がるとの予測もある。経済協力開発機構(OECD)によると、最低所得層の子が中位の所得を得られるまで平均4〜5世代の時間がかかる。
「雇用や賃金、資産をめぐる人種間格差を積極的に監視や目標の対象とすべきだ」。次期米大統領に就くジョー・バイデン氏は富裕層への増税など富の再配分の再建を掲げる。大統領選では米連邦準備理事会(FRB)に対し、金融政策を通じて格差是正にどう取り組んだか報告を義務付けることを公約に盛った。
むろん、ばらまくだけでは一過性に終わる。成長と雇用を生み、再配分から再生産へとどうつなげるか。次期米財務長官に指名されたジャネット・イエレン氏は「何もしなければさらなる荒廃を招く」と語る。米国は総力を挙げ、土俵際から踏み出そうとしている。
その成否は米国の将来を決めるだけではない。資本主義と民主主義という、私たちが苦闘の末に手に入れた価値の未来を描き直す第一歩となる。
パクスなき世界 大断層(2)
「巨大ITが秩序」現実に デジタル化、国家置き去り
アマゾンのEU競争法違反の疑いについて会見する欧州委のベステアー上級副委員長(11月10日、ブリュッセル)=AP
あなたの身の回りの規制は現実に則していますか――。
11月12日、インターネット通販「楽天市場」で、商品の一つである大型テレビの価格が目まぐるしく動いた。
午前9時すぎ、一部の出品者が20万円前後だった価格を3万〜4万円引き上げると、1時間以内に全出品の41%が追随した。3日後、今度は約2万円値下げしたところ、同じく41%の商品の価格が引き下がった。
ECサイトを調査するバリュース(東京・渋谷)の高木正良氏は「相手の値動きに合わせて自動で価格を変えるソフトウエアの存在が背後にある」と語る。ソフトによる自動値付けは米アマゾンでは出品者の3割超が採用しているとされる。すでに身近な存在だ。
【関連記事】 大断層の先に目を凝らす 「パクスなき世界」を考える DX時代の覇権、技術だけでは握れない 伊藤亜聖氏 デジタルシフトが招く長期停滞に懸念 竹森俊平氏 伊ボローニャ大のエミリオ・カルバノ准教授らの実験では、複数の人工知能(AI)に商品の値付けをさせると、バラバラだった価格が最終的に均一の価格となった。AIが他者の動きをにらんで利益を最大化した結果で、消費者には不利益となる価格水準に収まるケースもある。
既存の概念では「価格カルテル」に当てはまりそうな事例だが、カルバノ氏は「人の意思や交渉によらない『AIカルテル』を、現行の競争法で規制することはできない」と指摘する。OECD(経済協力開発機構)もこれまでの報告書で同様の懸念を示している。
デジタル化はこれまでのルールを置き去りにして急速に進んでいる。既存秩序の根拠となっていた法典や規制と、目の前で進む現実との間には埋めがたいほどの距離が開き始めている。
米グーグルの新たな決済アプリ。2021年からシティバンクなどの口座がひも付くが、銀行側には口座維持手数料や最低残高の決定権が制限されているという。グーグルなど「GAFA」合計の時価総額はシティなどグローバルに展開する30金融機関の2倍。強者のルールに弱者が従う構図は金融も例外ではない。
トマス・ホッブズが17世紀に「リバイアサン」で提唱して以来、万能な国家が市民の上に立つのが近代の統治モデルの前提だった。21世紀のいま、膨大な個人データとデジタル技術を持つ巨大IT企業は国家をしのぐ影響力を持ち始めている。
米国では当局がグーグルとフェイスブックを反トラスト法(独占禁止法)で提訴している。圧倒的な市場支配力で公正な競争を阻害していると判断し、M&A(合併・買収)で事業領域を拡大したフェイスブックに対しては、事業分割も求めている。
欧州連合(EU)はGAFAなどのプラットフォーマーに対する包括的な規制案作りに着手している。規模が小さいIT企業との公平な競争環境を構築することが目的の一つだという。
ハーバード大の故エマニュエル・ファーリ教授らは、低成長の一因として寡占化の進行を挙げた。ひと握りの企業が「肥大化」すれば富の偏在を助長するだけでなく、イノベーションを阻害し、経済成長を妨げる存在になりかねない。各国政府の危機感は強い。
富やデジタル化の恩恵を人々に平等に分配する仕組みやルールを誰が、どう作るのか。各国の政府や司法機関は前例のない問いに対する答えを探し始めている。
パクスなき世界 大断層(3)
30歳未満17%が仕事失う 報われぬ世代、渇望を力に
新型コロナウイルスの感染拡大は、多くの若者にマイナスからのスタートを迫る(チリ、2020年10月)=ロイター
あなたは、自分の親よりも豊かになれる自信がありますか――。
「高齢者のような貯蓄など私たちにはない」。英国のイングランド北西部に住むジュリア・フリーマン(29)さんはくじけそうだ。大卒でも定職はなく、幼い2人の子を抱える。新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン(都市封鎖)の影響で、夏に法律事務所を解雇された。やっと得た販売員の仕事も11月の初出勤の日に再び都市封鎖が決まり、失った。
そこから約7千キロ離れたケニアのナイロビでもチャールズ・ソンコ(30)さんが「人生が振り出しに戻った」と嘆いている。ガイドとして月200ドル(約2万円)以上を稼いでいたが、3月に旅行会社を解雇された。結婚の予定も延期した。
国際通貨基金(IMF)の報告書によると、世界で働く18〜29歳の17.4%がコロナ禍で失業・休業し、42%の収入が減った。30〜34歳も失業・休業は10%を超えた。米国で親と同居する若者は5割超と1930年代の大恐慌以来の高水準だ。
コロナ禍は世界共通の時代体験として「コロナ世代」を生む断層を刻んだ。「#ブーマー・リムーバー」。高齢者ほど重症化や致死のリスクが高いコロナについて「戦後生まれのベビーブーマー世代を取り除くウイルス」と評する心ない造語がネット上で流行した。
閉塞感をより深めているのは、20世紀後半の高度成長時代が遠ざかり、若者の憤りが時間とともに薄れると期待しにくくなっていることだ。すでに手にした富は高齢世代に偏る。米国で46〜64年生まれの保有資産は約60兆ドル。65〜80年生まれの2倍、81〜96年生まれの10倍に上る。
さらに、子が親より豊かになる階段も壊れた。経済協力開発機構(OECD)によると、米欧14カ国の43〜64年生まれは20代で7割が中間層に属した。80年代から2000年代初めに生まれた世代だと6割に細る。ドイツ銀行のジム・リード氏は「若者が怒りの矛先を誤って資本主義に向け、経済をさらに傷つけかねない」と警戒する。
米政治専門紙ヒルの8月の調査では社会主義に「親しみがある」と答えた米国民は50歳以上で3割前後。これに対し18〜34歳は52%、35〜49歳は59%に上る。この20年、世界金融危機やコロナ禍など相次ぐ激動にさらされ、このままでは報われないとの怒りを引きずる世代が拡張した。
次期米大統領に就くジョー・バイデン氏の得票をみても、18〜49歳の支持が現職のトランプ大統領を上回った。「現状変革を望む世代」の広がりが新たなリーダーを選んだ。だが成長というパイの拡大がないまま再配分だけ求めても、経済社会が停滞した旧ソ連のような「社会主義の失敗」を繰り返しかねない。
米哲学者エリック・ホッファーは成長を続ける創造的な人間を「永遠の青年」と呼んだ。旧弊を壊し、理想をめざすためには、新たな創造につながる教育という土台が要る。知識や技術、そして考える力。教育という社会全体の将来を支える投資を厚くしてこそ、「失われた世代」の連鎖を食い止める道を描ける。
閉塞への憤りをただ抑えれば社会不安を招く。1人ではできない変革への推進力へとどう変えていくか。危機は次の飛躍への起点にもなる。
パクスなき世界 大断層(4)
勝者なき「Gマイナス2」 自由か権威か、体制二分
2012年にそれぞれ米副大統領、中国国家副主席として会談したバイデン氏(写真右)と習氏(12年、米ロサンゼルス)=ロイター
このまま世界が2つに割れていくと思いますか――。
12月上旬、米ホワイトハウスで開いたパーティーでオーストラリア産のワインがふるまわれた。
「哀れな中国のワイン愛好家は楽しめない」。米国家安全保障会議(NSC)は、中国が豪州産ワインへの反ダンピング(不当廉売)措置をとっているせいだと皮肉を込めてツイートした。
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大断層の先に目を凝らす 「パクスなき世界」を考える
覇権国の責務果たさぬ米中新時代 スブラマニアン氏
米中対立は構造的、今後10〜20年間続く マブバニ氏
きっかけは豪州が4月に新型コロナウイルスの発生源を巡り独立的な調査を求めたこと。反発した中国による対抗措置が続く。米国や台湾を中心に豪州支持の声が広がり、摩擦は米中対立の代理戦争の様相を呈する。
資本主義か共産主義かによって世界が二分された冷戦時は緊張感こそあったものの構図は単純だった。冷戦が終わると経済がグローバル化し、成長という豊かさを手に入れることが世界共通の価値となった。イデオロギーの違いを問わず、経済の相互依存が進んだ。
だがコロナ禍が経済を寸断し、共通の価値が揺らいだ。表面化したのは自由主義か権威主義かというそれぞれの体制の底流にある思想の違い。影を潜めていた断層が再び世界を二分し始めた。
人々の自由を重視し厳格な感染防止策をとるのが遅れた米欧では多くの人命が失われた。対照的に秩序優先で強権も辞さない中国はウイルスの封じ込めに「成功した」と世界にアピールする。
米欧はワクチン68億回分を先進国などに供給する。中ロの供給力は6億回分とされるものの、感染が落ちつき国内向けに余裕がある中国は新興国への提供に動く。
中国の「成功」は独裁者の良い口実になる。ウガンダで11月、34年間の独裁政権に抗議した人たちが逮捕されたのは中国の華為技術(ファーウェイ)の監視カメラの画像が決め手だった。
アフリカではコロナ禍で需要が高まったオンライン化に対応するため、高速通信規格「5G」通信網でもファーウェイ製機器の採用が相次ぐ。対する米国ではイラク戦争時も使われた「有志連合」という表現を使い、対中国の新たな連携を呼びかける動きが広がる。
豪州も中国への対抗心を燃やす。そのあおりでキリンホールディングスが計画した豪州の乳飲料事業の中国企業への売却は頓挫。豪政府が「国益に反する」と許可しなかったためで、同事業は豪乳業大手にわたる。
トランプ米大統領は中国を新興国扱いして中国発の郵便料金を不当に安くしていると、万国郵便連合(UPU)脱退を示唆した。米国を引き留めるための制度の見直しで世界の郵便料金は高くなる。日本でも米国向け国際郵便が来年4月に最大5倍に値上がりする。
勝者なき体制間の闘争はいつまで続くのか。
「米中とも覇権国への期待と逆のことをしている」。インド政府の元首席経済顧問、アルビンド・スブラマニアン氏は両大国が秩序づくりでなく、自ら国際協調を乱す現状を「G2」ならぬ「Gマイナス2」と呼ぶ。
ともに市場経済を否定しないだけに冷戦時より複雑だ。中国への反発には、自分たちこそ正しいとの自由主義社会のプライドにも似た感情がこもる。それゆえ米大統領が代わっても構図は簡単に変わりそうにない。企業や個人も予期せぬコストへの覚悟が必要となる。
パクスなき世界 大断層(5)
科学揺らす「知の保護主義」 文明の進歩、停滞の恐れ
新型コロナ対策など人類共通の課題では国家の枠組みを超えた科学の連携が必要だ=ロイター
科学や知識は誰のためにありますか――。
ダ・ヴィンチ、コペルニクスらの才能を生んだルネサンス期。欧州では天文学、医学などが発達し、17世紀の科学革命への道を開いた。支えたのは宗教の教義からの解放だ。人間らしさを追求し、イスラム世界の知識も貪欲に吸収した。
ルネサンス前の中世には考えられない光景だった。キリスト教に反するような自然科学の研究は停滞し、当時の科学の中心だったイスラム世界とは断絶。「暗黒の西洋」と呼ばれる時代だ。
現代も科学研究に暗い影が忍び寄る。「データを中国の研究機関に持ち込むつもりか」。7月、米ボストンの空港の搭乗口で、ボストン大の大学院で研究していた中国籍の張平さん(仮名、26)は突然足止めされた。パソコンを探り始めた職員は計算化学の研究データを見つけるや単語や数字を一つ一つ指さし、説明を求めた。
2時間の押し問答を経て搭乗できたがパソコン類は没収された。「政治が学問を妨害するなんて」と張さんは憤る。米政府の中国人研究者への警戒には理由がある。
中国人民解放軍の関与を隠して航空宇宙工学の教授のもとに留学し、研究上の秘密を盗もうとした――。米連邦捜査局(FBI)は全米の大学関係者宛ての資料で複数の事例を挙げ、「米国の開かれた研究環境を外国勢力は食い物にしようとしている」と警告した。
中国との経済関係を重視してきた欧州も姿勢を変えつつある。欧州連合(EU)が21年から始める7カ年の研究開発戦略「ホライズン・ヨーロッパ」。第三国の管理下にある組織がEUの研究促進策に参加するのを「排除、もしくは制限することがある」と明記した。中国による介入阻止を意図したものとみられる。
中国の研究開発費は2000年代に欧州主要国や日本を上回り、世界一の米国に迫る。成果は有力科学誌に掲載される論文で、引用数で上位1%に入る「トップ論文」の国別シェアが物語る。学術データの英クラリベイトによると、00年に50ポイント以上の差があった米国との差は19年に5ポイントまで縮小。20年は新型コロナウイルスの研究論文の急増もあり、米国を初めて抜く公算だ。
現状は中国への警戒から「知の保護主義」の色彩が強まる。世界の頭脳を集めてきた米国では国務省が9月、中国の人民解放軍との関与が疑われる研究者・留学生1千人のビザを剥奪したと公表。米国で研究する留学生の数は20年春時点で前年比2%減った。前年割れは14年ぶりだ。米国は研究の分野でも世界に「壁」を築きつつある。
「人類は大きな変革の入り口に立とうとしている」。次世代の高速計算機などに使われる量子技術が開花し始めた現状を、情報通信研究機構の佐々木雅英フェローはこう例える。量子分野でも国境を越えた研究者の交流は盛んだったが近年は状況が一変。米中をはじめ国家間の競争が激しくなった。人材交流に制約がかかり「研究速度が鈍りかねない」と懸念する。
国家が国力を競い知の発展を支えてきたのは事実だ。だが保護主義が過ぎれば、人類共通の課題に立ち向かえなくなる。新型コロナや気候変動など課題が山積する今、科学の停滞は許されない。