日米共同声明を聞く(1)

 

韓国引き込みクアッド拡大を 防衛予算増も必要

 

 

 

兼原信克・元内閣官房副長官補

 

日米首脳の声明で台湾に触れたのは1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領以来となった。中国は当時、ソ連と国境で軍事衝突し、台湾に軍事力を割く余裕はなかった。日米は中国と国交正常化を果たし、中国を脅威と思わなくなった。

台湾有事は2030年ごろが一番危ない。国家は国力の衰退がはじまると軍縮交渉に応えるようになる。ソ連がそうだった。成長途上の中国の国力がピークアウトするのは20年も先であり、それまでは軍拡がやまない。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は伝統的なリーダーでない。胡錦濤(フー・ジンタオ)氏や温家宝氏のような文人タイプでなく、若い頃に文化大革命を経験した紅衛兵世代にあたる。共産主義が懐かしいのだろう。

中国はいまだに国民国家を完成させていない。共産主義は心の芯となる国民的アイデンティティーを確立できない。チベットやウイグルにこだわるのも、国がバラバラになるのを恐れるからだ。

習氏は香港への強引な介入を辞さなかった。武力による台湾の併合は絵空事でない。安全保障面で米国の支援を受ける台湾に手を出し始めているのだから相当な事態である。

中国は米国と四つに組む自信を付けつつある。米国が台湾周辺で頼れるのは日本しかない。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は米中双方にいい顔をしている。タイやフィリピンは軍事力が小さい。オーストラリアは頼もしいが遠すぎる。

今回の日米首脳会談は強大になりすぎた中国に対抗する最大のパートナーが日本であると証明した。菅義偉首相とバイデン大統領の関係は順調な滑り出しとなったが、10年、20年先を見据えればまだ1合目にすぎない。

外交の基本的な役割は力関係の維持で、味方を増やして敵を減らすのが鉄則だ。日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国(クアッド)の枠組みだけでは足りない。

韓国は文氏の世代に北朝鮮への共感があり、世代交代が進まないと難しい。とはいえ民主主義国であり、60万の兵力を持つ軍事大国である。日本として「クアッド・プラスアルファ」に韓国を引き込まねばならない。

現在の米中対立は米ソ冷戦の類比で理解できない。むしろ第1次世界大戦前の英国とドイツの関係に似ている。英国は工業化の遅れたドイツに多大な投資をしていた。相互依存が進み「戦争は起きない」と言われていたが起きてしまった。

半導体の技術規制は始まったものの、中国に進出する日米欧の民間企業が撤退することはない。成長する中国市場はなかなか捨てがたい。それでも戦争はマーケットと異なる論理で始まる。

日本は中国を抑止するため防衛予算の拡大が必要だ。財政は厳しいが本当に国が危なくなったら出さないといけない。科学技術の進歩が国家安全保障に全く生かされていないのが日本の難点だ。改革が欠かせない。

 

 


日米共同声明を聞く(2)

 

防衛計画の見直し急務 台湾有事の想定「不十分」

 

 

 

香田洋二・元自衛艦隊司令官

 

日米の共同声明は日本が「自らの防衛力を強化すると決意した」と書き込んだ。バイデン米政権と波長をあわせ、インド太平洋地域の平和と安全を守るため、日本も防衛力を積極的に整備するという大きな目標を一致させた。

日米の安全保障体制はもともと旧ソ連による日本の侵略に対処するためだった。冷戦終結を経て、橋本龍太郎元首相とクリントン元大統領がアジア太平洋の平和と安全を再定義した。

共同声明で「台湾海峡」という固有名詞を出したのは画期的だ。中国と台湾の関係がインド太平洋地域の安定を崩す原因になると明示した。日米同盟の第二の再定義と言える。日米が台湾に強い関心を払う意志を明確にした。

攻撃の「矛」は米軍に委ね、自衛隊は守りの「盾」に徹するのでなく、日米で精緻な役割分担を協議し、どう能力を高めていくか議論が必要だ。共同訓練や弾道ミサイルの配備、防空体制、島しょ防衛など詰めることは山ほどある。

日本の防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画は5〜10年前の思想で作られたものだ。台湾有事を前提とした防衛戦略は定められていない。この観点から国家安全保障戦略や防衛大綱、中期計画を見直す必要がある。

見直し作業ができて初めて共同声明が具体的な形になる。前提の計画が見直されなければ護衛艦やミサイルの配備は具体的な姿を描けない。

台湾有事は日本が直接の攻撃対象とならなくても、台湾を守る米軍への後方支援が想定される。東シナ海などでの監視活動をより強化して、米軍との情報共有に生かすのが極めて重要だ。

中国が台湾侵攻に先駆けて与那国島や宮古島からなる先島諸島を攻撃する可能性がある。先島諸島は台湾の「脇腹」で、沖縄本島や米軍から妨害されると困るためだ。

与那国島に駐屯する自衛隊員は現在150人程度にとどまる。平時でも一定程度は増強し、有事には例えば600人程度に増員し、欠落する対空能力を持たせる計画が必要になる。有事への想定と検討は不十分だ。

台湾有事の計画は政治が自衛隊にオーソライズし、公的な作業として認めないと、地に足の着いた計画は練れない。共同声明はこの作業に向けた一つのトリガーになる。

安全保障関連法は政府が憲法上とりえる手段の上限までカバーしている。日本は武力行使の基準を厳しく設定している。自衛隊の防衛出動には国会承認が必要になる。

厳しい基準で忠実に手続きをしているうちに先島諸島が占領され、国民の生命や財産を失いかねないリスクがある。主権侵害の現実とのギャップを埋める議論が急がれる。

 

 


日米共同声明を聞く(3)

 

台湾有事、緻密かつ率直な議論を 

 

 

 

米ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員

 

日米の共同声明を踏まえ、両政府は台湾有事に備えた議論を始めることになるだろう。基盤になるのは2015年に成立した安全保障関連法だ。

米国は集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」、後方支援の提供にとどまる「重要影響事態」など法的な枠組みは理解している。同じ台湾侵攻でも日本に攻撃が及ぶケースや、そうではない場合も想定される。

日米はこうした具体的な事例に基づき、何をお互いに望むのかについて緻密かつ率直に意見を交わす必要がある。

バイデン政権は世界的な米軍の体制見直しを進めており、在日米軍も当然対象となる。

検証の結果、米国がかねて検討してきた地上配備型の中距離ミサイルの配備受け入れを日本に求めることになっても私は驚かない。韓国、フィリピンなどこの地域の同盟国のなかで、日本がもっとも米国と対中国政策を巡る考え方が近いためだ。

共同声明に入った「日本の防衛力の強化」に関して検討が進むだろう。日本を狙う相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有や、敵の射程圏外から発射できる「スタンド・オフ・ミサイル」の増強が想定される。

戦闘を継続する態勢をとるために日本の軍事施設の防御力を高める努力も不可欠といえる。例えばレーダー、滑走路や弾薬の貯蔵庫といった施設の復元力を強化する方策を忘れてはいけない。

新疆ウイグル自治区の人権問題では、日本は米欧の対中制裁に加わっていない。日本は制裁を国の行動を変えるために効果的な手法とは必ずしもみていないと理解している。日本は別のどんな手段で人権侵害に対抗していくのかが課題になる。

気候変動の日米協力では、米国内の政治状況を踏まえた視点も考慮する必要がある。

バイデン政権は50年の温暖化ガス排出の実質ゼロ目標の達成に向けたロードマップや行動計画でリスクを抱える。あまり早い段階で具体的に示しすぎると、それによって打撃を受ける特定の産業をはじめ米国内から多くの反対を招く可能性がある。

22年秋には中間選挙を控える。政権にとっては石炭産業などを抱えるラストベルト(さびた工業地帯)の労働者層も大事だ。(気候変動問題に積極的な)民主党内の急進左派の存在も見過ごせない。政治的な打撃を最小限にするため、慎重に戦略を練るだろう。

共同声明でうたった半導体のサプライチェーン(供給網)の再構築や高速通信規格「5G」での日米協力は米国内の支持を得やすいテーマとみる。米国にとって雇用拡大を含めたビジネスチャンスにつながるためだ。

 

 


日米共同声明を聞く(4)

 

対中圧力、日本に不利益 台湾「反国家分裂法」に抵触

 

 

 

中国外交学院の蘇浩教授

 

日米の共同声明の内容は中国と米国、中国と日本の関係に大きな負の影響を与えるだろう。事実上、中国を日米同盟の「ライバル」と認定しているためだ。

日本はこれまで中国と米国の間でかけ橋の役割を果たしてきた。ところが自らの立場を変えて、米国を助けて中国をたたこうとしている。非常によくない。

中国と日本の間には共通利益がたくさんある。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)や環太平洋経済連携協定(TPP)はその代表例ではないか。

それにもかかわらず日本の行動は中国と日本の関係を前進させるのではなく後退させている。

共同声明が日米同盟を「自由で開かれたインド太平洋構想」の枠組みの核心と位置づけているのも問題といえる。中国やアジア太平洋地域の国家に対立関係を持ち込む。

台湾は中国の内政問題で、国際社会の問題ではない。共同声明には、米日両国は中国大陸と台湾の最終的な統一を阻もうとしているという意思を読み取ることができる。

両国が中国大陸と台湾の分裂した現状を維持しようとしているとも受け取れる。中国の発展と台湾の統一は背くことのできない時代の流れだ。

共同声明は中国が最も重視する「核心的利益」に触れる内容で「反国家分裂法」にも抵触する。このようなやり方は非常に危険だと思う。

共同声明では「中国と協働する必要性を認識した」と表記した。共通利益を巡り中国、米国、日本が協力できることは大きい。声明で言及した世界貿易機関(WTO)の改革はその一つと考えられる。

中国もよりよい役割を発揮していきたいと考えている。新型コロナウイルス対策でも3カ国で連携できることは多い。

気候変動問題も同じことだとみることができる。中国と米国は協力に向けて共同声明を出したばかりだ。二酸化炭素(CO2)の排出量の多い両国の協調は世界にとっても非常に重要となる。日本を加えた3カ国でも連携できることはある。

日米首脳は新疆ウイグル自治区の人権問題に「深刻な懸念」を表明した。人権はただ政治上の権利ではなく、経済上の権利の問題でもある。ひとびとの生活は大きく改善している。

米欧は人権を一つの手段として、中国の経済発展を抑え込むことを目的にしている。これは中国との経済関係が密接な日本にも不利になる。

ウイグルの人権問題で、日本と米欧の認識は一致していないのではないか。日本は中国の実情をより理解している。日本が積極的な役割を発揮して、米欧に中国の実態を理解してもらえるようにしてほしい。

中国政府は日米との連携を望んでいる。中国は日米の敵ではない。

 

 


日米共同声明を聞く(5)

 

台湾、グローバル化した「日米同盟」と連携重要

 

 

 

頼怡忠・台湾智庫諮問委員

 

日米共同声明は、日本が台湾海峡問題について自ら望んで一定の役割を果たすと世界に示した。

従来の「米、台、中」から「米日、台、中」という新たな三角関係が構築されたという理解だ。台湾は「対米」「対日」と別々に捉えるのではなく、今後は日米が一体とみて対中戦略を含めた外交戦略を考える。

橋本龍太郎元首相とクリントン元大統領が1996年に合意した「日米安全保障共同宣言」に劣らず重要なものとなった。同宣言は冷戦時代が終わり、日米同盟の意義が問われる状況で両国が改めてそれを再定義した。

今回の声明はさらに進んだ。5Gや半導体の協力も含め、地域の問題から地球規模の問題まで日米両国の立場と態度、将来果たす役割を広範囲に明確にした。

日米同盟をグローバルに再定義した「日米同盟グローバル版2.0」といえる。グローバル化した日米同盟を前に台湾が日米と協力関係を深めることが非常に重要だ。

今回の合意に至るまで、中国の日本への圧力も通用しなかった。台湾問題が明記され、3月の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)から後退することはなかった。

2プラス2の「台湾海峡の平和と安定の重要性」が踏襲されただけでなく「両岸問題の平和的解決を促す」との文言が加わった。解釈は様々だが中国からすれば内政干渉にあたる表現だ。台湾への強い支持が示されたとも解釈できる。

中国は共同声明について、国民への影響も考慮して反応を抑えた。強く反応するタイミングを選んでいるだけだ。

20日には国際経済会議「博鰲(ボーアオ)アジアフォーラム」での習近平(シー・ジンピン)国家主席の演説も控えていた。その前に騒ぎ立てたくはなく、過剰反応は避けた。世論も意識して共同声明を大ごとにしたくない意図があった。

中国は台湾に対して軍事的な威嚇行為を強化する以外の選択肢はない。日本に関しても釣魚台(日本名・尖閣諸島)周辺で中国公船が領海侵入を止めることはない。

一方で日米韓の同盟関係の分断も狙うだろう。戦略的に日本と韓国に経済的、政治的な特別な利益を与える可能性がある。

中国はバイデン政権への移行で関係改善を期待していた。それが期待外れに終わったいま、対米戦略の見直しを迫られている。中国は戦略的に米国との交渉レベルを下げるだろう。日本は共同声明を受け、台湾とさらに緊密に連携を図るべきだ。

 

 


日米共同声明を聞く(6)

 

韓国は中国と対立できず

 

 

 

韓国の李鍾奭(イ・ジョンソク)元統一相

 

日米首脳会談の共同声明は中国の核心的利益である台湾海峡や香港に触れた。中国を圧迫する米国の政策に賛同した日本は、冒険的な選択に踏み込んだ印象だ。

日本は日米同盟を基盤とする外交で東アジアの安定を率いている。一方で経済の側面で中国との協力が不可欠だ。日米の共同声明が東アジアに対立の秩序をもたらさないか懸念している。

5月に韓米首脳会談があるが、韓国は日本より慎重にならざるをえない。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は韓米同盟の強化を軸に、中国を含む多国間協力を追求する姿勢をとる。金大中、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権から続く革新政権の伝統的な考え方だ。

もちろん、いかなる場合も韓米同盟が基礎であるのに変わりはない。同時に現実の外交は国益の観点から同盟と多国間協力のバランスが必要になる。韓中関係は例えればカナダと米国の関係に似ている。対立できない地理的な宿命だといえる。

日米の共同声明は半導体などサプライチェーン(供給網)を巡る協力も打ち出した。韓国には「安米経中」という言葉がある。安保は米国、経済は中国とそれぞれ協力するという意味だが、現実的には切り離せない。

歴史を顧みれば戦争は古今東西、経済的利益を守ったり奪い合ったりする争いだった。経済的利益が集中するところは安保的な利害も生じる。中国と経済の安定を保つには一定の安保協力も必要になる。

日本が中国と対立する道を選べば、経済への影響は小さくない。韓国は国内総生産(GDP)の4割を輸出に頼る。貿易の4分の1を中国が占めており、打撃はさらに大きくなる。

日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国(クアッド)の枠組みに、韓国の参加を促す声がある。

中国をけん制したいインドはクアッドに加わったが積極的といえない。インドでさえそうなのに、中国との協力が必要な韓国が加わるのは簡単でない。バイデン米政権は韓国にクアッド参加を一度も求めていない。

日米の共同声明は北朝鮮の非核化にも言及した。日本側はCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)を主張したが、声明には盛り込まれなかった。バイデン政権は過去の政権と比べて柔軟な対北朝鮮政策を用意するのではないか。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記は対話の扉を閉じていない。米朝対話が見通せるかどうかは、5月の韓米首脳会談の結果とも関わる。

菅義偉首相は「金正恩氏と条件を付けずに会う決意がある」と言う一方で、小さな武力挑発にも制裁を主張する。これは北朝鮮に矛盾したメッセージを送っている。

金正恩氏は先代の指導者と比べ、実利的かつ実用的だ。安定的な交渉が可能かどうか見ている。

 

 


日米共同声明を聞く(7)

 

軍事力強化、国民の理解を

 

 

 

佐々江賢一郎 日本国際問題研究所理事長

 

台湾を共同声明に52年ぶりに明記したのは3つの側面がある。

1つ目は台湾は経済発展と民主主義を実現した地域であるという点だ。

新型コロナウイルスへの対応で、中国は「民主主義は機能していない」と主張する。日米が戦後の秩序である民主主義・人権・自由・法の支配の正当性を象徴するのが台湾と言える。

2つ目がハイテク分野における米中競争の拡大があげられる。

半導体の中心的な役割を持つ台湾は自由民主主義の国にとって重要な拠点。サプライチェーンの分散や過度な中国依存からの脱却という点で、経済安全保障の焦点が台湾にある。

3つ目は中国による東シナ・南シナ海への海洋進出において、地政学の中心に台湾が位置する。

シーレーン(海上交通路)の要衝にある。中国によって台湾が損なわれると、中国の内政問題でなく、経済上も安全保障上も日米に極めて重大な意味を持つ。

中国は米国への挑戦者だ。日米には軍事的な抑止力だけでなく、経済的な競争力も求められる。人権や法の支配といった価値そのものが問われている。「中国にも中国のやり方がある」と米国が引き下がることはない。

日本は米中という二大大国に対し、複眼的な思考で接する必要がある。

米国は同盟国であり安全保障や経済安保で協力するが、だからといって中国と手は切れない。中国は大きな経済力を持ち、日中双方で巨額の貿易投資をしている。

中国との投資や経済活動を維持していくのが日本の利益となる。

米国と同盟国として行動を共にする必要性が生じるときは別として、普段の経済関係は変えようがない。冷戦時代の旧ソ連と違い、今の中国は市場の大きさや経済のインパクトが比べものにならない。

米国が問題視しているのは、中国の国家が介入する経済の運営体制だ。ハイテクを中心に一部で米中経済のデカップリング(分断)は進み、日本も米国とともに歩むだろうが、米国にも貿易面で中国と完全に手を切るという発想はない。

中国は政治的に好ましくない行動をとった国に対し、経済的圧力をかけてくる。傾向と対策、リスクの分散を国家・企業レベルで考えていく必要がある。

中国は今後も軍拡を進めるだろう。軍事大国としての振る舞いに米国の警戒感はさらに高まる。偶発的な衝突や小競り合いで、不信のレベルが増大するリスクをはらむ。

今回の共同声明でも日米は対話がまず第一だと訴えている。米中は今後、突発的な衝突に備えてコントロールできる体制を拡充するだろう。

危機管理制度はオバマ政権時代に米中で文書を交わしている。米ソでもそうだったように、いずれ話し合いは強化されていく。

軍事力は地域全体のバランスが均衡しない限り、各国が縮減に転じる流れにはならない。しばらくの間、中国の軍事力の拡大が続くと日米の抑止力の強化は必要になる。

戦争や紛争を「するため」ではなく「防ぐため」に軍事力の強化が必要だという点について理解と支持を国民から得る必要がある。今後の日本政治において重要なテーマになる。

 

 

 

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