内閣不支持が支持上回る 1月の各社世論調査

 

本紙で50% 理由「指導力なし」多く

 

報道各社の1月の世論調査で菅義偉内閣を支持しない「不支持率」が支持率を相次いで上回った。新型コロナウイルスの感染再拡大への対応の遅れを指摘されたことが影響している。日本経済新聞社の調査では不支持理由として首相の指導力不足をあげる回答が最も多かった。

 

日経の世論調査で菅内閣を「支持しない」と答えた不支持率は50%と2020年12月の前回調査から2ポイント上昇した。菅内閣が発足した20年9月以降、50%台に乗るのは初めて。同年9月の調査は17%だった。

不支持率が50%に達するのは安倍晋三前政権の20年7月以来となる。7年8カ月続いた第2次以降の安倍前政権は50%を超えた状態が3カ月以上続いたことはない。

不支持率の高止まりが長引けば安定政権の基盤が揺らぎかねない。

報道各社の調査でも不支持率が支持率を上回る傾向が出た。1月9〜11日に実施したNHKの調査で菅内閣を「支持する」と答えた人は12月から2.9ポイント低下の39.5%、「支持しない」は4.7ポイント上昇の40.7%で支持と不支持が逆転した。

1月15〜17日に実施した読売新聞の調査、同23〜24日に実施した朝日新聞の調査でも支持率は12月から6ポイント下がり、6〜10ポイント上がった不支持率と逆転した。

政府の新型コロナ対策への不満が反映されたとみられる。日経の調査で新型コロナを巡る政府のこれまでの対応を「評価しない」と回答した人は61%に上った。朝日の調査でも63%、読売は66%でそれぞれ半数を超えた。

一方で1月23〜24日に実施した産経新聞とFNNの合同調査は支持率が52.3%で不支持率45%を上回った。

菅内閣を支持しない理由は首相の指導力不足を指摘する声が多かった。1月9〜10日に実施した共同通信の調査で内閣不支持理由の最多は「首相に指導力がない」の41.2%だった。朝日の調査では首相が新型コロナ対策で指導力を「発揮していない」と答えた人が73%に達した。

日経の調査でも菅内閣を支持しない理由のトップは「指導力がない」で55%だった。不支持理由で「指導力がない」が50%を超えたのは11年7月の菅直人内閣(62%)以来となる。

当時の菅直人政権は東日本大震災の復興が最大の政策課題だった。衆参両院の多数派が異なるねじれ国会という状況もあり、機動的な政策決定ができなかった。与党で衆参両院の過半数の議席をもつ菅義偉政権は国会運営上の制約は少ない。

野党の勢いも異なる。日経調査で11年7月の政党支持率をみると、与党だった民主党は25%で、野党・自民党の32%を下回った。今年1月の状況は、自民党の44%に対し立憲民主党は9%にとどまる。

報道各社の調査でも自民党の支持率は30〜40%台で、立民は1桁台という構図が相次いだ。

内閣支持率から自民党支持率を引いた値は「首相プレミアム」と呼ばれる。首相の「選挙の顔」としての価値を測る一つの指標となる。昨年の12月は0ポイント、今回はマイナス1ポイントだった。政権発足当初22ポイントあった首相プレミアムは消失した。

 

 

 

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