都市力調査、横浜市は4位に 鎌倉・藤沢も高評価
森ビル系のシンクタンク、森記念財団都市戦略研究所が3日発表した国内主要都市の活力や魅力に関する2020年のランキングで、横浜市が2年連続で総合4位となった。神奈川県内では鎌倉市(24位)と藤沢市(30位)が上位30位に入った。新型コロナウイルスによる生活様式の見直しなどで評価が高まるとの結果も出た。
横浜市は文化・交流やビジネス環境が評価された(みなとみらい21地区)
同研究所の都市特性評価は、東京23区以外の全国の主要109都市(前年は72都市)が対象。地域の経済力や観光資源の多さ、福祉・医療の充実ぶり、自然環境の豊かさなどを示すデータをもとに「経済・ビジネス」「生活・居住」など6分野のスコアを算出した。総合1〜3位は京都市、大阪市、福岡市だった。
4位の横浜市は「文化・交流」(3位)など多くの指標で上位だった。景観やまちづくり、自治体SNSのフォロワー数の多さなどが順位を押し上げた。ビジネス環境では従業者数が大阪市に次ぐ2位となるなど都市機能も高評価だった。森記念財団は「多様な都市機能を高い水準で有している」と評価した。
一方で「環境」は103位と最下位に近い。都市地域の緑地率の低さなどが課題となった。
横浜市以外の県内自治体を分野別にみると、鎌倉市が6分野のうち3分野でトップ30に入った。鶴岡八幡宮や由比ガ浜などの観光資源が多く「文化・交流」と「環境」がそれぞれ16位となった。「研究・開発」で、日産自動車やソニーなどの研究開発拠点が立地する厚木市が8位となった。「経済・ビジネス」では、京浜工業地帯があり企業の本社や工場が多い川崎市が16位だった。
順位は今年3月までのデータを基に決められ、新型コロナウイルスの影響はほとんど反映していない。このため同研究所は、新型コロナの感染拡大による経済の悪化、訪日外国人や国際会議の減少、勤務地の多様化や渋滞緩和などを加味し、シミュレーションした結果も公表した。
結果は横浜市は総合4位と2020年のランキングと変わらなかったが、鎌倉市は23位、藤沢市は29位といずれも順位を1つ上げた。鎌倉市は、那覇市や北海道函館市などと同様に「近場の魅力の再発見もあり相対的にマイナスの影響が少ない」とみる。
首都圏では、テレワークへの普及などで郊外部への住み替えへの関心も高まっている。リクルート住まいカンパニーの「SUUMO」編集長の池本洋一氏は「独特の文化が注目され、憧れの郊外という点が支持されている。鎌倉は歴史や文化、藤沢はオープンな雰囲気、商業施設などの魅力が高い」と分析している。