2018年「日経POSセレクション売上No.1」決定



平成の「欲しい」に応える

 



日本経済新聞社は小売店のPOS(販売時点情報管理)データに基づき、加工食品や飲料など約2000あるカテゴリーごとに2018年に最も売れた商品を「日経POSセレクション売上N0.1」に決定した。売り場の顔として平成を通じ首位の座を一度も譲らなかった定番商品や、18年の発売でいきなり1位となり、今後、定番化する可能性を秘めた商品などが名を連ねた。


 


ベテラン 「当たり前」を創造


 平成の間、1位を守り続けた商品には、先駆的な切り口で新たな市場を開拓し、今や「定番」として確固たる地位を築いたものが多かった。

 代表例が丸美屋食品工業の「麻婆豆腐の素」だ。1971年の発売当時、マーボー豆腐は本格的な中華料理店でしか味わえなかった。「日本人になじみがないからこそ、簡単に作れるようにしたかった」(同社)。フライパンと豆腐で簡単に作れることをアピールするため、団地をまわって試食会を開き、マーボー豆腐を家庭の味として定着させていった。

 65年に発売した大塚製薬の「オロナミンCドリンク」は医薬用ドリンク剤として厚生省(現厚生労働省)に申請予定だったが、炭酸ガス入りは医薬品の許可が出ないとわかり、食品として販売。だが、主要取引先の薬局は清涼飲料を扱つていなかった。売り上げ拡大策として着目したのが70年の大阪万博。会場の売店で扱つてもらい、一気に売り上げを伸ばした。

 76年発売のハウス食品の「フルーチェ イチゴ」は、レトルト食品晋及を目指した商品。当時、家庭で作るデザートはプリンにしろゼリーにしろ、加熱や冷やして固める手間が必要だった。牛乳と混ぜるだけで子どもでもつくれる手軽さと、それまでなかった食感で親子の心をつかんだ。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 


ルーキー 「あるといい」形に


 新発売ながら競合を抑えて年間1位の座についた商品では、消費者の「あったらうれしい」を形にしたものが目立つた。

 サントリースピリッツが2018年2月に発売した「こだわり酒場のレモンサワーの素」は、ソーダで割ることで好みの濃さでレモンサワーが楽しめるのが特徴だ。居酒屋などでのレモンサワー人気や炭酸水を常備する家庭が多くなった点に目をつけた。同年12月にはレモンの味をより感じられるよう原料酒の配合を見直すなど商品に磨きをかける。

 日清フーズは、18年2月発売の片栗粉風調味料「日清 水溶きいらずのとろみ上手」で片栗粉市場に参入した。水に溶かさず、粉をふりかけるだけでとろみ付けできる。

 「粉が舞つて台所が汚れる」 「とろみが足りないと、もう一度、水で溶くのが手間」などの不満を解消しつつ、片栗粉の特徴をうまく引き出せるよう原料に様々なでんぷんを組み合わせた。

 テーブルマークが同年3月に発売した「カップに入つたプチカレー」は「幅広い世代から弁当でカレーを食べたいとの声が多かった」(同社)のが開発のきっかけ。弁当箱の中でこぼれない粘度とおいしさのバランスを保つため、試行錯誤を繰り返した。弁当に冷凍食品を使つていなかった人の開拓に成功した。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


世界有数のデータ量


 日経POS情報は、日本経済新聞社が全国のスーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど計1500店舗の実売データを収集している。1985年より蓄積されており、詳細で膨大な価格・販売データを有する世界有数のPOSのデータベースだ。企業のマーケティングや商品開発などに活用されている。

 対象は食品、日用品など約265万品目に及ぶ。店舗から日次でデータ収集し、最短2日で全国や地域別の販売動向を把握できる。日々発表される新製品を2000に分類し、容量やフレーバー(風味や香味)ごとに価格や販売数量を追える。

  「日経POSセレクション売上N0.1」は日経POS情報の各カテゴリーでその年に最も売り上げの多かった商品に付与しているメーカーは使用料を払えば、他社商品との違いを訴える手段として商品パッケージや店頭での販促物などの広告に専用のエンブレムを使える。

 

 

 

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