人事が観る大学イメージランキング



「万能型」に評価集まる


総合首位;筑波大、2位京大


「採用増やしたい」は地方大上位

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本経済新聞社と就職・転職支援の日経HRは大学イメージ調査を実施した。上場企業と有力非上場企業の人事担当者に、採用した学生から見た大学のイメージを聞いた。総合ランキングでは前回17位の筑波大学が首位になった。一方、学生優位の売り手市場が続くなか、企業は地方大学に採用の手を広げていろ。「採用を増やしたい」と考える大学では、弘前大学がトップだった。
 総合ランキング1位の筑波大は学生については「行動力」(4位)、「対人力」 (2位)、「知力・学力」 (5位)、「独創性」 (3位)と4つの側面でまんべんなく高評価を取った。

 同大は建学以来、専門分野に閉じこもるのではなく、学問横断的な履修カリキュラムを実践してきた。2007年度からはその土台の上に、「筑波スタンダード」と名付けた国際的な互換性を備えた学位取得システムを構築。ユニークな学びの環境を整備してきたことが、学生の資質向上という形で企業の人事担当者には映っているようだ。

 総合ランキング2位は京都大学で、「知力・学力」と「独創性」で1位だった。総合3位の東京農工大学は「行動力」で1位、「対人力」で5位となるなど筑波大学と同様、4側面全てでトップ10入りした。

 総合上位10校ではこのほか横浜国立大学(6位)、早稲田大学(8位)がそれぞれ3側面でトップ10に人った。偏りの少ないオールラウンド型の人材を人事担当者は求めているようだ。

 


 弘前大の質評価

 一方、「採用を増やしたい大学」1位の弘前大学。「地頭の良さもあるが学生の質が高い」(流通)という声があった。同大は総合ランキングでも21位に付けた。

 2位の東北工業大学は「学生セミナーが充実」(建設)との声があり、大学側の取り組みで「就職支援に熱心に取り組んでいる」の項目で3位に付けた。同じく2位の流通経済大学は「地域に根付いているイメージが強い」(建設)。女性の社会参画促進の機運を背景に、7位には安田女子大学が人った。一貫した独自の教育を実施しており、優れている」(電機)と評価する声があった。

 大学の取り組みに関する質問では、「就職支援に熱心に取り組んでいる」とのイメージが最も強かったのは名古屋工業大学。「(大学主催の)就職イベントがたくさん実施されている」(車体部品メーカー)との声があった。

 「授業の質の改善に熱心に取り組んでいる」のイメージが強かったのは、東京国際大学や金沢工業大学、名古屋外国語大学だった。

 


 学力より人柄重視

 採用選考の場で学生のどんな点を重視するかを聞くと、回答が最も多かったのは「コミュニケーション能力が高い」で90%。「主体性がある」「チャレンジ精神がある」がそれぞれ87%、84%で続いた。

 学力や能力よりも、協調性や本人の意欲など人柄を重視する人事担当者が多いようだ。

 



 
調査概要 

 全上場企業と一部有力未上場企業4750社に、2016年4月〜18年3月の2年間で新卒社員として採用実績のある大学を多い順に10校まで挙げてもらい、「学生のイメージ」と「大学の取り組みのイメージ」の2つを聞いた。調査は日経リサーチを通じて18年2月19日〜3月23日に実施。有効回答数は929社だった。

 ランキングの集計方法 学生イメージ12項目、大学の取り組みイメージ7項目について、当てはまるかどうかを6段階で評価してもらった。得点は非常に当てはまる10点、当てはまる8点、やや当てはまる6点、あまり当てはまらない4点、当てはまらない2点、全く当てはまらないO点として集計した。

 学生イメージの集計では、各項目の合計得点を有効件数で割った平均値を算出。全項目を「行動力」 「対人力」 「知力・学力」 「独創性」の4つの側面に分けて、それぞれの平均値を出した。総合ランキングはこの4つの得点を単純合算した。大学の取り組みイメージは各項目の合計得点を有効件数で割った平均値。

 ランキングの対象 採用実績の多い順に挙げてもらった472校を回答数の多い順に並べ、回答数が一定水準以上に達した154校。

 

 

 

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