お寺経営修行中

 

檀家離れ深刻  布教現代風に  カフェ・美坊主コンテスト

 

 お寺が変わり始めた。檀家が減っで運営が厳しくなり、生き残り策を模索する。カフェの経営やお坊さんのコンテストなど「情報発信」をキーワードに世間との距離を縮める。仏教をより身近に感じてもらい、檀家をつなぎとめる。お布施も明朗会計にするなど、お寺の運営基盤を固める試みが始まった。

 2月26日夜、東京・代官山にあるカフェで22人の女性と3人の男性が僧侶を囲んでいた。お酒を飲みながら恋愛や仕事、人間関係などについで僧侶に悩みを打ち明けた。

 オシャレな町並みに溶け込む「寺カフェ」。運営する信行寺(川崎市)の浅野弘毅住職(63)が2年ほど前に開店。檀家離れが止まらないお寺業界で、「葬式や法事だけで、布教をしでこなかった。寺のほうから外へ出ようと思った」。 

副住職をしていたバブル期にゴルフ場やテニスクラブを経営した。バブルが崩壊、急逝した父親の負債も引き継いで抱えた借金は100億円。自身の経験を交えた説話で引き込み「心を安定させて生きるのが宗教の目的」と結ぶ。

 普段から店内にはお坊さんがいる。飲食しながら悩み事を僧侶に相談できるという仕組みは人気を呼んだ。「できれば、ここを通じで檀家を増やし、経済的な足場を固めたい」と浅野住職。 

 米ハーバード大で神学を学んだ超勝寺(山口市)の僧侶、大来尚順氏(33)が「自分なりのスタイルで布教できればいい」と執筆した著書は「英語でブッダ」。一般人にはよくわからない仏教用語を英訳し理解しやすくする。諸行無常は「Everything ls changlng」。思わず納得する。 

 新しい世代の僧侶は、お布施に依存しないスタイルで身を立てる。  

 2015年12月、都内で「美坊主コンテスト」が開催された。僧侶としでの見栄えや立ち振る舞いだけでなく法話内容も競った。主催した、おぼうさんどっとこむ(東京都稲城市)の林数馬代表取締役(49)は「遠い存在に思われていたお坊さんを近くに感じでほしい」と説明する。 

 同社の主な事業は僧侶の派遣のほか、葬儀の運営。林氏は「お布施」を「費用」と呼び、僧侶への支払いや戒名の料金をサイト上で開示した。

 お寺ができればあいまいにしでおきたいお金の事情。「お気持ちで結構です」というこれまでのお坊さんの言葉を具体的な金額に書き換えた。夕ブーに切り込んで「仏教界から目の敵にされてますよ」と林氏は苦笑いする。似たようなサービスを最近ではイオンなどが手がけでいる。 

 寺院専門のコンサルティングをするインターセンス(東京・港)の山本正人代表取締役(47)は「全国7万5千ある寺院のうち稼働しているのは半分もないだろう。規模の大きなお寺はこく一部で、ほとんどが中小零細」と説明する。檀家は減り「お寺に縁のない人たちにとっで基準があいまいな(お布施という)お金を払えるのかという思いがある。特代とともにやり方を変えないとお寺は継続できない」と指摘する。 

 山本氏は実家のお寺を継がなかった。大手不動産会社で働いた経験を生かし、コンサルタントという立場から税理士や行政書士らと連携して各地のお寺を支える道を選んだ。財政的なアドバイスのほか、ホームページ作りやイベント誘致などを助言。顧客となるお寺の「檀家」を着々と増やしでいる。 

 

 

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