ガイヤの一声
権利の主張
台風19号によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被害に遭われたすべての皆様方に、お見舞い申し上げます。
さて、何かと物議を醸した「あいちトリエンナーレ」が、10月14日に閉幕しました。
この展覧会は2010年から3年ごとに開催されており、名古屋市と豊田市の4つのエリアに、国内外90組以上のアーティストを迎えて、国際現代美術展のほか、映像プログラム、パフォーミングアーツ、音楽プログラムなど様々な表現、最先端の芸術作品を集めた、国内最大規模の国際芸術祭です。
しかし今回、企画展「表現の不自由展・その後」に展示されていた少女像に対してテロ予告や抗議が殺到し、開催から3日後に中止に追い込まれる事態を招き、展示会場が閉鎖されました。
日韓関係の悪化要因の一つである慰安婦問題、反日の象徴も言える少女像の示に対して、嫌悪感を懐くのはある意味、あたり前かもしれません。
しかし、少女像を制作したキム・ウンソン、キム・ソギョン夫婦は少女像のそぱに「(少女の)隣に座ってみてください。手を握ってみてください。平和に向けた考えが広がることを祈ります」との文章を添えており、「平和の少女像」の名前通り、この像を通して平和を訴えかけてます。
少女像の隣に腰掛けて、少女と同じ目線になることで、何かを感じ取って欲しいとのことです。ソギョンさんは日本メデイアからの取材に対し「この像は反日の象徴として制作したのではなく、平和の象徴であることを知らせるために展示会への参加を決意した」と語っています。
さらには、この少女像にはもう一つメッセージが込められているそうです。
それは地面を踏めず少し浮いた、もう一つのかかとは「彼女たちを放置した韓国政府の無責任さ、韓国社会の偏見」を問うているとのこと。
「表現の自由」「言論の自由」に限らず、現在、国民の権利(個人の尊重)を主張するあまり、自分さえ良ければいいとの風潮が蔓延しているように感じますが、そこには相手の気持ち、表現を捉える側を尊重する姿勢、心遣いが必要です。広い意味での義務をしっかり果たしてこその権利ではないでしょうか。
表現の意図を明確に示し、その真意をしっかりと伝える努力がなければ、ただのヘイト(僧悪)であります。大地の恵み、多くの人たちの支えによって生かされていると自覚し、常に感謝の心、謙虚な姿勢で日々精進したいと思います。