信徒所感

桑原 俊二


信心の道場を護ることが我家を守ること

                               


 私は北海道最北端の地、稚内の実明寺法華講に所属する桑原俊二と申します。齢84になって、まだ山仕事の現役をやっております。この大会で、所感発表を仰せつかり大変光栄に存じます。

 さて、私の入信は叔父の紹介で、昭和37年に当時の創価学会へ入会をしました。お寺までは150kmもあり、バイクと汽車を乗り継いで稚内の実明寺で御授戒を受けました。まず謗法払いです。祖父が北海道に入植して私は三代目ですので、我が家の仏壇には阿弥陀如来の掛軸や、ほかに諸々の御札等、相当の量が集まりました。御札を叔父とストーブで燃やし、最後に掛軸が青白く燃えはじまると、私は背負つていた重い荷物を下ろした時のように身体がスーっと軽くなったことをいまでも鮮明に覚えています。

 

親をこの妙法につかせ・・・・

 私は信心をはじめてから、朝晩の勤行をほとんど欠かさず真面目に信心をしてきました。私は長女と長男の2人の子供と、2人の孫がいますので、法燈相続と父母の入信をご祈念してきました。私か入信して31年目の平成4年に父親が入信して、その2週間後に大院中の母親が亡くなりました。母親は題目を唱えることができませんでしたが、日蓮正宗で弔うことができました。親をこの妙法につかせることは最高の親孝行と聞いていましたが、年回忌のたびに親類縁者が集い御本尊様に縁をして帰って行きます。父親も12年間朝夕の勤行をして、平成15年に安らかに家族で看取ることができました。素直な心で御本尊様にお題目を唱えてい父でした。

 孫たちも、爺ちゃんの家にくるとお数珠を持参して、着いたら必ず御本尊様にお題目を唱えます。「爺ちゃんが死んだときにお前たちがこの南無妙法蓮華経の信心をしてないと、爺ちゃんは成仏ができないんだよ」と話をしています。御本尊様に縁あって我が家に生まれてきてくれた子供と孫たちが一生涯、御本尊様を信じることを祈っております。

 その正信会がいま2つに分かれてしまい、札幌に住む子供たちが所属していた市内の行足寺が法人側になって、子供にはどの様に話をしたらよいのか分かりません。法人側のご僧侶方がなぜ、正信会から分かれたのか、納得のいく理由がまったく分かりません。私は半世紀以上、法燈相続を願ってお題目を唱え、やっと親子ともどもお寺に参詣できると思っていたその矢先きに、そのお寺が法人側となってしまいました。正信会は「富士の清流を取り戻そう」と共に戦ってきて、わずか30数年で清流を取り戻すどころか、力を半減させてしまったのは法人の方たちではないでしょうか。大聖人様がこの現状をご覧になっていると思うと、まことに忍びないです。

 法人側になって離檀した子供はいま、本山大石寺の宿坊に信徒としての籍を置いています。長男は、「そろそろ本山に帰ってもいいんでないか」などというのですが、私は「いまの宗門に謗法がなくならない限り帰ることはない」と話しています。佐渡御書の「外道・悪人は如来の正法を破りがたし。仏弟子等必ず仏法を破るべし。師子身中の虫の師子を食らふ等云云。大果報の人をば他の敵やぶりがたし、親しみより破るべし」とのご金言に、今の日蓮正宗は当てはまるのではないでしょうか。

 宗門側のご僧侶方は、日顕師及び日如貫首に(いま流行りの忖度をして誤りを正そうとしていません。このままだと日蓮正宗における大聖人様の仏法は、消滅してしまわないかと心配です。曽谷殿御返事の「法華経の敵を見ながら置きてせめずんば、師檀ともに無間地獄は疑ひなかるべし」とのご金言を心肝に染めて、私は「只今臨終のその時」まで精進して参ります。

 さて、実明寺のご住職は平成29年1月4日御歳88の時体調を崩され、心肺停止状態で緊急入院しました。「意識が戻られても植物人間かもしれません」と医師に宣告をされましたが、2週間程で意識が戻って驚異的な生命力で回復し、3月の中旬には退院されました。春のお彼岸の塔婆を書かれるなど、ご法務を務められ、私たち講中は只々驚嘆しました。ご住職の御本尊様を信ずる心の強いことを感じました。今後も実明寺をしっかり厳護してぃこうと講中で誓い合ってぃます。

 現在、ご住職はお元気で法務を務められています。しかしながら法華講としてはご住職がご高齢でありますので、寺院の退去が現実のものとなっています。しかし寺院退去後の、私たちの信心の道場は確保ができていません。

 

寺院退去後の憂い

 正信覚醒運動が始まったころの講中は30数世帯からでしたが、ご住職は「道念には衣食住がついて回る」と、堂々とご指導下さいました。そして42年間、信心の道場を護ってきましたが、都会への引っ越しや法人問題の足の引っ張り合いで互いの信徒は離れ、現在の実明寺は10世帯で菩提寺を護っています。寺院を退去したのちのこついては、各寺院それぞれの責任だともお聞きしていますが、「手続の師匠」も「道場」もなくなる地方の末寺の信者は、どの様に信心をしていけばよいのでしょうか。「我らこそ富士の本流」と謳い、正信会のご僧侶こそが「手続の師匠」だと私は信じていますので、対策を講じていただけることを念願します。

 

宗門・法人が正信会とともに・・・ 

 最後になりますが、近年の台風はあらゆる物を破壊しながら北海道まで上がってきます。皆さんも感じていると思いますが、大聖人様が「立正安国論」に仰せの天変地異そのものです。せめて宗門・法人が正信会とともに、宗開三祖の正しい教えに立ち返り、清らかなお題目を唱えておれば、諸天善神のご加護が必ずやあると私は固く信じます。


 その中で、私事ですが昭和52年に会社設立して42年になります。この会社は御本尊様よりお預かりした会社だと思っており、まず第一に信心の道場を護ることが我が家を守ることだと信じています。


 私は、第65世日淳上人命名の東照山実明寺を「只今臨終のその時」までしっかりお護りしていくことをお誓い申し上げます。

 

 

 

 

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