ガイヤの夜明け
登山の効果
元日には毎年恒例の富士山頂より昇る初日の出が生中継で放送され、心が洗われる思いでした。
登山ブームも後押しして、各地で山頂より初日の出を拝もうと多くの人が前日より登山 し、スタンバイする光景も印象的でした。なかには余りの寒さに耐えかねて日の出前に下山する姿も・・・。
いまだに空想登山家の私なので体験はしておりませんが、ある登山家の一言が心に残つています。
「山頂に立つまではもの凄く苦しい。しかし大きく深呼吸をして 山頂からの雄大な景色を眺めた瞬間に頭が真っ白になり、疲れも、 今までくよくよ悩んでいたことも吹き飛ぶ。 それと同時に人間が何とちっぽけな存在であるのかを実感させられる」と。
登山とは、客観的に自分自身を見つめ直し、雄大な自然に生かされていることへの感謝、謙虚な姿勢の大切さをおしえてくれるのかもしれません。そんな豆山によってうつ病を克服した人の話です。
彼は大学卒業後、自勣車関連企業に就職し ました。しかしミスばかり起こし、上司から叱責の毎日が続いたそうです。
一年経つと仕事中に強い眠気を感じるよう になり、人の話も聞き取れなくなったそうです。何かがおかしいと思い精神科を受診すると、うつ病と発達障害との診断結果。
病状はさらに悪化して退職。それからはほとんど外出もせず、横になったままスマホゲームの実況動画を眺め 日々で、将来のことは何も考えられなくなったそうです。
そんな折りにたまたま、スマホに届いたのが八甲田山の登山動画でした。撮影者の激しい息づかい。ブナに囲まれた林道。ゴツゴツした岩場。透き通った空と連なる峰々に魅了された彼は「自分も挑戦したい」と思うようになりました。
数年間のひきこも 生活で体力が落ちていた彼は、最初は初心者向けの高尾山ですら山頂に辿り着けませんでしたが、挑戦し続け、筑波山・ 谷川岳・富士山の登頂に成功。自信を取り戻した彼は障害者雇用で、大学職員の仕事にも就職が決定。
2022年10月、彼は憧れの八甲田山の登山口に立ちました。傷だらけの登山靴はうっ 病を克服し、つらい日々を乗り越えた証でもあるかのように…。
登山は信仰に通ずるものがあるのかも しれません。成仏という頂きを目指し、 どんなにつらいことがあっても、困難こそ法華経の行者の証 と信心堅固に、一歩 一歩進んで参りまし ょう。